疫学系院生ブログ

統計、因果推論、プログラミングなどの備忘録です。

ランダム化について

ランダム化について勉強する機会があったのでメモ。
ランダム化比較試験は医学研究のゴールドスタンダードとされますが、ランダム化にもいくつかの方法があります。

・単純無作為化法
・層別無作為化法
・最小化法

 これらは募集できそうな対象者数や既知の交絡因子によって選択されます。
 単純無作為化は対象者をランダムに2群以上に分ける、シンプルな方法です。しかしこの方法ではどうしても調整したい交絡を制御したい場合には不安な方法です。RCTでは事前にわかっている交絡因子については、ベースラインにおいて絶対に群間で均等になるように治療を割り付けたいためです。

 アウトカムに影響する交絡因子が既に分かっている・測定されている場合、層別無作為化を選択するのが無難です。これは交絡因子となるカテゴリー変数で層に分け、各層で確率的に2群以上に割り付けます。単純無作為化よりも交絡因子を均等化できるため実務ではよく使用される方法です。
 
 上記の方法はサンプルサイズがある程度大きい場合には有効ですが、小さい場合には交絡因子の分布が群間で偏る可能性があります。つまり偶然偏る確率が高くなり、結果に交絡によるバイアスが入りこむ可能性が高くなります。  

 このような偏りを避ける方法が最小化法です。最小化法は交絡因子が最も均等になるように、参加者を各群に割り振っていく方法です。参加者を追加するごとに割り付けることから、動的割付とも言われます。臨床試験では事前に割付確率を0.7などに設定するのが一般的です。最初の参加者は確率0.5で2群のどちらかに割り付けられます。次の参加者は興味のある変数が偏らないように、事前に決められた確率で割り付けられます。これによって興味のある変数に関しては群間で均等になることが期待されます。しかし測定されていない交絡因子が均等であるかは保証できない点には注意が必要です。単純無作為化や層別無作為化では割付確率0.5ですが、最小化法は交絡因子の分布で割付確率を変更しています。したがって最小化法はサンプルサイズの小さい試験で有効な方法です。

●参考文献